約 478,628 件
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1208.html
【名前】九条坂 燐蔵 (くじょうざか りんぞう) 【性別】男 【所属】科学 【能力】レベル0 【概要】 霜北沢学園の中等部三年生。風紀委員一五二支部所属。 同級生の府中とは友人で、風紀委員でもコンビを組んで行動することがある。 性格は非常に硬派だが、年下の面倒見も良く温厚な一面も持っている。 府中と同じく無茶な行動をすることも多いが、救済委員と関わらないといった、必要最低限の命令は守る。 実は元スキルアウトで、スキルアウトの事実上のNo.2だったが、 花盛の宙姫により組織が壊滅させられてしまい、少年院行きになってしまう。 その後、少年院に入ったことにより更生したようで、友人の府中に誘われて風紀委員に入る。 しかし更生はしたものの、あれ以来花盛の宙姫のことがトラウマになり、姿を見ると逃げ出す癖ができてしまった。 能力は無いがカンフーの達人で、ジ○ッキー・チェン並みのアクションをする。意外と頭も良い。 ゲームマニアでもあり、たまに支部のパソコンでギャルゲーやエロゲーをしている。 また、大量のフィギュアや漫画も所持しており、たまに府中に貸したりしている。 【特徴】 180を超える身長に加えてガチムチ体系。顔は強面でたらこ唇。 黒髪の前髪をオールバックにしており、後ろ髪を三つ編みにしている。 超機動少女カナミンのプリントされた白いシャツを着ている。 【台詞】 一人称は「自分」。二人称は同級生や年下には「貴様」、年上には「あなた」 「ほぅあたたたたた!!あいやぁぁぁ!!」 「府中、貴様にこの漫画を貸してやろう。この漫画はな、不思議な右手を持っている主人公の話なのだ。」 「ひぃぃぃ!そ、そ、宙姫!い、嫌だなぁ…じ、自分はビビッてなんかないぞ…!」←後ずさりしながら 【SS使用条件】 特に無し
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/181.html
120 :【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] :2007/12/14(金) 01 32 32 ID FFoatSrY 「ふぅ~ん、誰かの視線を感じるねぇ」 放課後の帰り道、同じクラスの南条が『最近、誰かに見られてる気がする』という相談してきた。 なるほど最近、南条が顔色が悪いはそのせいだったのか 「お前、疲れてるんだよ きっと休めばその視線を感じないさ」 僕は、月並みなアドバイスをした。 「…俺もそう思ったんだけど、どうやらストレスとかとは違うみたいなんだ」 そうだろうな。その視線の主は、ストレスから来る幻覚などではない。 なぜそう確信できるかというと僕は、その視線の主を知っているからだ 僕がその視線の主を知ったのは、2ヶ月前のことである――― ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 「森野くん、ちょっと次の時間に使うボール持ってきてくれる」 っと僕は、休み時間が始まると同時に逃げ出した体育委員の南条の役割を後藤さんに押し付けられた。 やさしい僕は、後藤さんの命令に従い、ボールのある倉庫の鍵を取りに体育教務室へ向かった。 「ちわーっす、倉庫の鍵を取りに来ました」 …誰もいないようだ。っと中に入ろうとしたら机の影に人影があった。 「誰かいるんですか?」 「も・森野じゃないか!どうしてここに!?」 そこにいたのは、科学の大月先生だった。科学の先生がなんで体育教務室にいるんだろう? 「先生こそなんでここにいるんですか?」僕は、大月先生に近寄った。 よくみると大月先生は、片手にジャージを持っている。 さらによくみるとそのジャージは、新任の女教師・山村先生のものだった。 僕は、豚を見るような目で大月を見ると大月は、 「も・森野、これは…あれだ、世の中には色々な愛し方があってな…」っと痛々しい言い訳を言い出した。 こんな変態が学校の教師になれるなんて世も末だ これ以上、この男の見苦しい言い訳など聞きたくないので 「わかりました…その行為もまた人を愛す方法なんですね」 「わかってくれたか森野!!お前は、本当にいい奴だな!!」 僕は、「では、ごゆっくり」っと大月に言ってドアを閉めた。 体育教務室の中で何かをしゃぶるような音が聞こえるが聞かなかった事にしよう 121 :【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] :2007/12/14(金) 01 33 19 ID FFoatSrY …さてと、 僕は、生徒会室に立ち寄った。 「た・大変です!!体育教務室で大月先生が山村先生のジャージであんな事やこんな事を!!」 「何!やっぱりまたやらかしたかあの変態教師め!!」 そのセリフからするとどうやら大月は、何度かあぁいう事をしてたらしい 「直ちに風紀委員を呼べ!今日こそあの変態を学園から追放してやる」 これでよし!っと生徒会を立ち去ろうとすると 「えぇ~っと、森野くんだっけ?情報ありがとう」っと生徒会長であり、 さっき僕にボールを持って来いと命令した後藤さんのお姉さんの後藤真理子先輩が話しかけてきた。 「いやいや、僕は当然の事をしたまでっスよ」っと僕は、頭をかいて答えた。 10分して体育教務室は、風紀委員に取り囲まれた。委員長が委員達の真ん中に立った。 「正直なところ、事態は最悪だ。厳しい戦いになるだろう… 君らの多くは退学されるかもしれん だからと言って考えを変える君達でない事は百も承知している 君達は最高の風紀委員だ。その勇気を疑うべくもない。 あの狂人が我々の学園の風紀を乱すのであれば 『風紀』の本当の意味を教えてやろう!」 うわぁ~まるでハリウッド映画を見てるようだ。 そして、委員長の合図で一斉に体育教務室に入っていく風紀委員の皆さん 「御用だ!御用だ!」っという声が木霊し、数分が経つとボロボロになった大月が風紀委員と一緒に出てきた。 大月は、小さな声で「もっと…もっと…して」と何かを風紀委員長に催促していた。この真性の変態め!! このようにうちの学園は、少しでも風紀を乱すような変態行為をすると 教師だろうと生徒だろうと(理事長の孫娘である高島さん以外)、 あのようにボロボロになって学園の晒し者になる。あぁいう風にはなりたくない……… さて、大月のせいで遅れてしまったが次の時間は、体育だ。 僕は、着替えようと教室に戻るとなにやら窓ガラスに衣類に顔を埋める人影が見えた。……また高島さんか 例え、風紀委員長が許しても被害者である僕は、許さないのだ 僕は、勢いよく教室のドアを開けた。しかし、そこにいたのは高島さんではなかった。 そこにいたのは、後藤さんだった。 後藤さんは、南条の制服を着て中の匂いを嗅いでいたのだ。 後藤さんは、僕に気づくと顔を真っ赤にして 「も・森野くん、これは…あれよ、世の中には色々な愛し方があってね…」っと どこかで聞いたようなセリフを吐いて教室を逃げるように出ていった。 122 :【後・お見舞い】 ◆DT08VUwMk2 [sage] :2007/12/14(金) 01 35 40 ID FFoatSrY その日以来、学校を彼女は欠席するようになった。 欠席して1週間が経った頃、僕は先生から後藤さんと高島さんにプリントを渡すよう言われた。 「後藤さん家は、近いからいいけどなんで自分ん家と逆方向の高島さん家にまで行かないと行けないんですか!!」っと 先生に文句を言うと先生は、「お願いだ森野、俺には、養う家族がいるんだ」っと土下座をしてきた。 あぁ~教師って大変だなぁっと思いながら僕は、後藤さん家と高島さん家にプリントを渡す仕事を引き受けた。 1週間前の事もあるし、まず最初に後藤さん家に行く事にした。 僕は、後藤さん家のインターホンを鳴らした。数十秒してインターホンから 「…はい、どちら様でしょう?」っといつも聞く声とは違う弱弱しい後藤さんの声が聞こえた。 「えぇ~っと、森野だけどプリント渡しに来ました」 「…そう」っと無愛想に答えると数秒して家の玄関からボサボサな長い髪で顔色の悪い後藤さんが出て来た。 「えぇ~っと、これが今日渡されたプリントね」僕は、後藤さんにプリントを渡した。 後藤さんは、プリントを受け取ると「ねぇ、森野くん」っと話してきた。 「はい、なんでしょう」 「あの時の事…南雲先輩に話した」南雲先輩というのは、風紀委員長の事だ 「大丈夫、あの事は誰にも言ってないから」 「ねぇ…アイツって私の事、どう思ってるんだろう?」 アイツ…というのは多分、南条の事だろう。 僕は、「アイツから後藤さんの評価は、聞いてないなぁ」っと答えた。 「じゃ・じゃあ、アイツは、どんな女の子がタイプなんだ?」 「えっ?え~っと、あっ!そういえば修学旅行ん時に 『恥かしがり屋でいつも影で自分を見ている一途な女の子』にグっと来るって言ってたよ」 「そ・そうか、『恥かしがり屋さんでいつも影でジロジロと好きな男子を見つめる一途な女の子』だなアリガトウ!!」 う~ん、なんか違う気もするけど元気になったみたいだしいいか 「今日は、ありがとう」っと後藤さんは、僕に礼を言い家に入っていった。 さてと、次は、高島さんか… ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ それからというもの南条は、気づかないようだが後藤さんは、 暇さえあれば南条をジロジロと凝視するようになった。 そうそう、南条。 お前、気付いてないみたいだけど今もお前の後ろの席で後藤さんがお前を見てるんだぜ 【後・お見舞い】・終
https://w.atwiki.jp/infinityclock/pages/106.html
見ろよ、この世界の有様を。 ある時何かがこの世界に、ばら撒かれちまったことがきっかけで、全てが滅びへと向かっちまった。 意思なき自然物までもが、狂った生命力の果てに自滅し、命なき無機物やロボット達は、緩やかに衰え死滅していった。 太陽が沈んだその瞬間、全ての終わりが始まったんだ。 一人の小娘が死んだ時から、俺達の世界は、どうしようもない滅びを始めちまった。 大地が枯れ、街が朽ち、そして命が錆つき消えていった。 世界大戦? 最終戦争? クク……何も分かっちゃいねぇな、お前は。 言ったろ。一人の小娘が死んだ時ってよ。 全ての滅びを引き起こしたのは、巨大な軍隊なんかじゃねえ。 月という名の太陽を殺した、たった一人の殺し屋が、世界全てを狂わせたんだ。 そんなちっぽけな存在の、たった一瞬の行動で、全てが終わっちまったのさ。 どうだ、滑稽だと思わねぇか。 神様の奇跡は存在しねぇ。この世界には科学しかねぇ。 それでも俺たちゃいつの間にか、そのくらいには、取り返しのつかねぇ存在になっちまったんだよ。 これから現れるのは、そういう奴だ。 英霊なんて讃えられるほど、真っ当な生き様を辿っちゃいねぇ。 そもそも太陽を落とし呪われたアイツが、いつ死んだのかも分からねぇ。 娘の生き血をその身に浴びて、命の呪いを受けた男。 決して殺されねぇかわり、決して自分でも死ねねぇ、命の牢獄に囚われた男。 それがアイツだ。あの男だ。 結局のところそんなアイツが、どんな存在だったのかは……そいつはまぁ、自分で確かめてみるこったな。 ククッ、俺が誰かだと? どうでもいいじゃねえか、そんなこと。 俺はただの観客に過ぎねぇ。昔はどうだったかは別として、今の俺とこの戦いには、何の関わり合いもねぇんだからよ。 だから俺なんかの名前よりも、アイツの名前をよく覚えときな。 月という名の太陽を殺した男。 奇跡を超えた科学の呪いで、世界を塗り潰し滅ぼした男。 殺した奴の名は―― ◆ ◇ ◆ 「うあっ!」 足を取られて、無様に転ぶ。 ゴミ袋とポリバケツの臭いが、埋もれた鼻を鋭く突く。 その日は土砂降りの雨だった。 灰色の空から冷たい雫が、次から次へと降り注ぎ、さした傘を五月蝿く叩く。 河嶋桃はそんな日に、真紅の令呪を手に入れた。 何かが足りない空虚な日々から、沸々と湧き上がるようにして、全ての記憶が蘇ってきた。 そしてそれを、学校の友人に、見咎められてしまったのだ。 偽りの身分を与えられ、入学させられた学校の、クラスメイトを演じていた少女に。 同じく令呪を刻まれて、傍らにサーヴァントを連れていた、戦うべきライバルである少女に。 「ごめんね、河嶋さん」 背後から女の声がする。 クラスメイトの声がする。 神話の英霊を従えて、命を狙う者がいる。 古い戦車に跨って、巨大な斧を振りかざした男だ。それが彼女のサーヴァントだ。 車輪を屈強な馬に引かせ、高みから殺意を振りまく、屈強な大男の姿だ。 そうか、あれも戦車なのか。キャタピラも砲塔もなくとも、戦争のための車だから、戦車と呼ばれているのだったか。 そんなことを考えて、そんなのはどうでもいいことだと、桃はすぐに思い直した。 (何故だ) どうして私はここにいる。 何故こんなことになっている。 大事な戦車道の決勝戦は、もう間近にまで迫っているのだ。 こんな偽りの学校でない、思い出の詰まった大洗女子学園の存続が、その一戦で決まるのだ。 なのにどうして河嶋桃は、こんなところに連れ出されている。 大事な戦いを邪魔されて、チームメイトもいないこんな街で、たった一人で戦わされてる。 (聖杯……) それがこの戦いの報酬らしい。 身勝手な招集の対価として、望む願いを何であっても、叶えてくれるというのだそうだ。 たとえば、彼女が戦車に乗るきっかけになった、学園艦の維持問題も。 その聖杯に願いさえすれば、大洗女子の廃校も、たちどころになかったことになるだろう。 最強の黒森峰相手に、無謀な戦いを挑まずとも、学園を取り戻すことができるだろう。 (そんなもの……!) だが、それが一体何だというのだ。 拳を握り、歯を食いしばった。 戦車で勝てば得られる成果を、命懸けで願ったところで、一体何になるというのだ。 私達は頑張ってきた。何もないゼロからスタートしてきて、ここまで戦い続けてきた。 それが報われさえすれば、全ては解決するはずなのに、どうしてこんなことを強いる。 努力の対価は目の前にあるのに、どうしてそんなもののために、命の危険に晒されねばならない。 (死にたくない!) こんな形で死にたくない。 あんな奴なんかに殺されたくない。 会長も柚子ちゃんもいないこんなところで、孤独に惨たらしく殺されるのは御免だ。 チームメイトの誰からも、死を悟ってもらえないのではと思うと、怖くて怖くて涙が出てくる。 そうでなくても、次の瞬間に、命が尽きてしまうと考えると、手足が震えて止まらなくなる。 「さっさと終わりにしてしまうぞ、マスター」 「ええ。お願い」 野太い男の声が聞こえた。 斧を振り上げる音がした。 ああ、もう駄目か。おしまいなのか。 このまま為す術もないままに、命を奪われてしまうのか。 自分のサーヴァントにすら会えないまま、一矢も報いられないままに、命を落としてしまうのか。 このまま死ねば、何も出来ない。 大切な友達にも二度と会えない。 大好きな学校にもいられない。 河嶋桃は何もできず、何も楽しむことも叶わず、短い命を、ここで、終える。 (……違う!) そうじゃない。 そうじゃないだろう。 たとえ万策尽きたとしても、それでも望むものがあるなら、最後まで足掻き続けなければならない。 一万一つ目の策が、通用しなかったとしても、決して諦めてはいけない。 それをあの西住みほが、身をもって教えてくれたではないか。 自分達が巻き込んだ少女は、自分達が挫けそうな時にも、諦めず立ち上がってくれたではないか。 「生きる……」 なのに自分がこんなのでどうする。 河嶋桃が諦めてどうする。 恐れが何だ。怯えが何だ。 手足が動かないなんて、そんなものが理由になるか。 「生きて、帰るんだ……!」 涙の滲んだ目を開いた。 鼻水まみれの顔を上げた。 恐怖は全く消えないけれど、それでもがたがたと震える両手に、無理やり力を入れて這いずった。 こんなところでは絶対に死ねない。 会長や柚子ちゃんや大洗女子学園を置いて、くたばることが許されるはずもない。 生徒会広報・河嶋桃が、命を落とすなどあってはならないのだ。 「――生きたいと思うか」 声が、耳に届いた。 稲光りと雷鳴が轟き、視界が一瞬真っ白に染まった。 それでもその時聞こえた声は、轟音の中にあってなお、はっきりと桃に届いていた。 「え……」 振り返る先に、人影がある。 いつからそこにいたのだろうか。 そこに現れた気配を、全く感じることができなかった。 桃が振り返った先には、白い装束を纏った背中が、敵に立ちはだかるようにして現れていたのだ。 「貴様は……!」 「生きるための力があれば、君は諦めず生きられるか」 振り返った視線は、青い。 広がった黒髪のその下で、グレーの空模様にあってなお、青い瞳が輝いている。 薄暗い世界の只中で、その男の双眸は煌々と、色彩を放っているように見える。 瞬間、桃は理解した。 奇妙な感覚ではあったが、彼女は理解させられていた。 これが自分の力なのだと。 あの娘が従えるそれと同じ、河嶋桃のサーヴァントなのだと。 この最低な殺し合いの中で、自分の命を守ってくれる、唯一無二の存在なのだと。 「生きたい……」 その時こみ上げた涙は、生きられないかもしれない悔しさゆえか。 あるいは生きられるかもしれないという、希望を目の当たりにしたことで、緊張の糸が緩んだのか。 豪雨の中にあってなお、瞳からこぼれ落ちる涙は、決して見間違えさせることもなく、その存在を主張していた。 「ああ、生きたいよ! 私は生きて帰るんだ! 生きて帰らなきゃならないんだっ!」 我知らず、桃は叫んでいた。 恥も外聞も何もなく、みっともなく喚き散らしていた。 であれば、それは間違いなく本音だ。 取り繕いもない言葉は、誤魔化しようもない本心だ。 何が何でも生き延びたい。生きて大洗へ帰りたい。 虚勢を張れる相手もいない、たった独りきりの河嶋桃の、偽りのない願いだった。 「なら――僕が君を生かそう」 呟くように。 されど、確かに聞こえた声で。 河嶋桃の呼び寄せた男が、その声に応えた、その瞬間。 「ひ……っ!」 世界の空気は、一変した。 刺すような、凍てつくような、押し潰すような。 ありとあらゆる重圧が、世界の全てを埋め尽くし、その場にいた全てに襲いかかった。 先に上がった短い悲鳴は、相手のマスターから上がったものだ。 見る間に肌は青ざめて、足はがくがくと震えて、ついには身を支えられず崩れ落ちた。 ぼろぼろと大粒の涙を流し、腰の抜けた体で後ずさる様は、先程までの桃以上に、酷い恐慌状態に陥っていた。 「何だ、これは……!」 そして敵サーヴァントも少なからず、その影響を受けているらしい。 軽く身じろぎをしながら、これまでよりも緊張した様子で、その大斧を構えている。 全ての元凶は、白い男だ。 河嶋桃のサーヴァントが放つ、異常なまでの威圧感が、両者を襲い呑み込んでいるのだ。 直接向けられていない桃ですらも、恐ろしいと思えていた。 味方すらも竦ませるそれは、敵の放っていたそれと同じ――命を害する、死の恐怖だ。 「テェッ――!」 「きゃぁああああああああっ!」 少女の悲鳴と、男の声が、豪雨の街に響いた時。 聖杯戦争の舞台に、再び大きな、雷鳴が鳴った。 ◆ ◇ ◆ 全てが終わりを告げた時、そこには一言の言葉もなかった。 呆然とした様相で、ゴミ袋の上に座っていた、河嶋桃の情けない姿と。 豪雨を身に受けて立ち尽くす、白い男の姿だけがあった。 「あ……」 そう。それだけだ。 他には誰もいなかった。 生きている者は二人だけ。死んでいるものが二つあるだけ。 赤く湿った残骸が、そこら中に転がっているだけだ。 「―――」 冷たく光る青色が、振り返り、桃の方を見る。 真紅の返り値に染まった、白ずくめのサーヴァントと視線が合う。 足元に広がっているのは、原型すらも分からなくなった、無惨で痛ましい肉片の数々。 粒子となって消えていくのは、屈強だったはずのサーヴァントだ。 消えずに残り続けているのは、一日前まで友達だった、女子高生だったはずのものだ。 それら全てに囲まれながら、白い男は立っていた。 冷たい瞳を光らせながら、河嶋桃を見つめていた。 「ひ……!」 デスのサーヴァント。 暗示するものは、死。 脳に送られる冷たい言葉と、網膜から伝わる凄惨な光景が、桃に悲鳴を上げさせる。 両手を伸ばし、両膝を覆い、体育座りの姿勢になって、それきり一歩も動かなくなる。 止む気配のない大雨の中。晴れる様子のない灰空の下。 河嶋桃は縮こまり、寒さとは異なる冷たさに、かたかたと身を震わせていた。 ◆ ◇ ◆ 殺した奴の名は、キャシャーン。 キャシャーンだ! . 【クラス】 デス 死神のサーヴァント。 暗殺・謀略・隠密にまつわるアサシンのクラスと異なり、死そのものにまつわる英霊に与えられるクラスである。 必然魔獣や悪魔などの非人間霊の方が多く、人間霊の場合、アサシンの適性を持つ暗殺者よりも、殺人鬼や虐殺者の方が当てはまりやすい。 前者の場合はバジリスク、後者の場合はアドルフ・ヒトラーなどが適性を持っている。魔人アーチャーこと織田信長にも、多少の適性があるらしい。 【真名】キャシャーン 【出典】キャシャーン Sins 【性別】男性型ロボット 【属性】混沌・中立 【パラメーター】 筋力:A 耐久:C+ 敏捷:A 魔力:E 幸運:E 宝具:C 【クラススキル】 急所突き:C 標的の急所を見極め、必殺の一撃を叩き込むためのスキル。 戦闘中にクリティカルヒットを狙える確率が増加する。 威圧感:A 存在そのものが放つ死の恐怖。 相対する相手にプレッシャーを与え、行動や判断を鈍らせることができる。 Aランクともなると、低級のサーヴァントであれば、身動ぎすることも難しくなる。 「勇猛」などの精神干渉に耐性を与えるスキルがあれば、軽減ないし無効化が可能。 【保有スキル】 戦闘続行:A+ 基本的に死ねない。 他のサーヴァントなら瀕死の傷でも、戦闘を可能とする。 直感:C 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。 敵の攻撃を初見でもある程度は予見することができる。 【宝具】 『月という名の太陽を殺した男(カース・オブ・ルナ)』 ランク:C 種別:対人宝具(自身) レンジ:- 最大補足:- 女神を殺した罪の証。 永劫に死ぬこともない代わりに、真に生きるということも実感できない生の牢獄。 どれほどの傷を負ったとしても、それに比例した苦痛を伴い、瞬時に再生する自己修復能力である。 キャシャーン自身の意志でも、マスターが令呪を使ったとしても、オンオフを切り替えることはできない。 このサーヴァントを殺すには、亜空間にでも追放するか、分子レベルまで完全消滅させるかしかない。 仮に前者を行ったとしても、マスターに令呪がある限りは、 強制転移によって帰還させることができるため、基本的には後者以外の攻撃は意味をなさない。 ただし肉体の再生には、当然マスターの魔力消費が伴うため、乱用は禁物である。 規格外の再生能力を誇るが、科学技術に由来する宝具であるため、神秘性はさほど高くない。 【weapon】 なし 【人物背景】 月という名の太陽がいた。 ルナという名前で呼ばれる少女は、地に溢れたロボット達を癒やし、幸福な生涯へと導いていた。 しかし彼女の存在を、疎ましく思う者がいた。 ロボットの王たらんとした男は、自分以外に支配者となり得るものを抹殺するため、彼女のもとに暗殺者を送り込んだ。 ルナを刺し貫いた男こそ、キャシャーンと呼ばれたロボットだった。 そしてルナが死んだその瞬間から、世界の滅びが始まったのだった。 キャシャーンが再び目を覚ました時、世界は滅びの中にあった。 記憶を失ったキャシャーンは、自分をつけ狙うものと戦い、その度に殺し続けてきた。 ルナの返り血を浴びたことで、死にたくとも死ねない身体になった男は、望まぬ殺戮を繰り返し、屍の頂で涙した。 やがて旅路の果てに、キャシャーンは、再び蘇ったルナと出会った。 しかし彼女の築いた世界は、死を忘れ去った者達が、ただ漫然と日々を過ごすだけの、怠惰に満ちた世界だった。 失望の楽園に立ち尽くした男は、歪な世界を認めることができず、自ら彼らにとっての「死」となった。 滅びを免れたとしても、永遠の生を取り戻したとしても、死というものから目を逸らしてはならない。 ルナとロボット達が死を忘れた時、キャシャーンは再び現れて、彼女らを殺しにやって来る。 キャシャーンはそう言い残すと、彼女らの目の前から立ち去り、一人孤独な死神となった。 歪んだ倫理を正すため、義憤に駆られ立った英雄なのか。 犯した罪を贖わんとし、自ら十字架を負った罪人なのか。 キャシャーンが何者であったのかは、今は、誰にも分からない。 【サーヴァントとしての願い】 ??? 【マスター】 河嶋桃@ガールズ&パンツァー 【マスターとしての願い】 生き残る 【weapon】 なし 【能力・技能】 騎乗(戦車) 戦車の乗組員としてのスキル。通信手・砲手・装填手のスキルを保有する。 ただし射撃の腕前は相当に低く、砲手の適性は皆無に等しい。 事務 書類作成などのデスクワークスキル。ほとんどの時間を杏の世話役として過ごしているため、発揮される場面は少ない。 しかし決して無能ではなく、マニュアル通りの仕事なら、そつなくこなすことができる。 バレエ 宴会の隠し芸大会で、見事なバレエを披露したことがある。 【人物背景】 県立大洗女子学園に通う、高校三年生の少女。 生徒会広報を担当しており、会長の角谷杏を崇拝している。 学園の廃校を阻止するため、戦車道を復活させ、全国大会優勝を目指す。 自身は冷静沈着な策士として、杏の片腕を務めようと努力している。 しかし本質的には短気かつ小心者で、想定外の事態にヒステリーを起こしたり、泣きじゃくったりしている。 空回りすることは多いものの、彼女なりに学園を守るため、精一杯頑張っているのは確か。 今回は黒森峰女学園との試合の数日前から参戦している。 【方針】 直接的な格闘戦しかできないキャシャーンと、目まぐるしく変化する戦況に対応できない桃。 この主従に取れる戦術は、キャシャーンのステータスに物を言わせた、正面切ってのゴリ押し戦法のみだろう。 最大の問題は、「威圧感」を振りまくキャシャーンの戦いに、桃までドン引いてしまう可能性があること。 とにかく桃のメンタルの弱さがネックなので、頼れる同盟相手が出来たら、大事にしたい。
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/5047.html
速攻生徒会 迅速高校・速攻風紀委員会 コメント 小川雅史の漫画作品。格闘ゲーム的な技を駆使する高校生達のバトル漫画。作者の初長編作品となる。 迅速高校・速攻風紀委員会 ダークライ:真田 梨香 必殺技が全て「暗黒」なので(分類が「あんこくポケモン」) コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/ebichu-busoufuki/pages/23.html
話数 エピソード名 選択肢① 選択肢② 選択肢③ 選択肢④ 1 みんなで勉強会しよう! 授業でとったノートの見直し それなりに頑張っているよ 勉強も助け合うっていいね 選択肢なし 2 言ってみるもんだね 携帯食で良ければあるよ さすが星名さんありがとう あることに感謝しよう 選択肢なし 3 委員長手伝って いいよ。まず何からしようか ウェットティッシュ これで作業効率も上がりそう 選択肢なし 4 選択肢なし 5 選択肢なし 6 選択肢なし 7 選択肢なし 8 選択肢なし
https://w.atwiki.jp/projectnovelgakuen/pages/136.html
プロフィール 名前 ベル・リペア ヨミ ベル・リペア 種族 人間 性別 男 クラス 高等部3-A 出席番号 07番 所属 ビルド委員会、風紀委員会 出身 アクアリオ 入学経緯 転入とかはなく普通に入学した 血液型 B型 誕生日 7月20日 身長 200.0cm 趣味 設計図作成 特技 設計、建築 好きな食べ物 ブッシュ・ド・ノエル 嫌いな食べ物 ブルーチーズ 一人称 僕 二人称 キミ キャラクター考案者 KM 特殊能力 『ウェルカヌス』 ローマの鍛冶神の名を冠した神器。オルガニウムと呼ばれる特殊な金属で作られた大きな金槌。鋼鉄のピコピコハンマーのような見た目。叩いた殴打部がへこむことが能力発動のスイッチ。 これ一つで材料の収納と加工、建築材の取り付けや解体が出来る。ただし、能力を行使すると体力を消耗する。これは物質全般に作用するようで、服飾などの用途への応用も確認されている。 幼少期から物作りに興味があった彼は、この魔法のハンマーを手にしたのをキッカケに一流のビルダーになる決意を示した。 『形状把握・錬』 物の形を見るのが好きな彼は、いつしか目視のみで物の形状や長さを細かく把握する能力を身に着けた。 詳細 容姿 基本、パーカーを着用している 性格 建築第一の建築オタク。その反面建築以外の物事には無関心で他者との接触は消極的 真面目な性格で、必要なことは建築と結びつけて一生懸命に取り組もうとする面もある その他 数学や物理、技術、美術などの科目が得意。 神々の抗争によって散らばった神器の内の一つが彼の手元に降り立った。 台詞 + ... 自己紹介 ベル:「ベル・リペアです。建築すべての人生を送っています。 話しかけられたら反応しますが、自分から話しかけるときは関りを持つ上で相互に助け合えると言える場合が大半です。 ちょっとした雑談もちょっとだけなら可能です。 え?建築のこと?それなら、たくさん話せますよ!(圧)」 ノベル学園入学の経緯または理由 関係 名前 関係性 呼称 グループ風紀委員会 三田 ルシア なんだかんだでツッコミを入れがち 三田さん 可美 一絵 まこと(眞) 日向 立葵 その他 うさぎ
https://w.atwiki.jp/idress/pages/61.html
国民番号 PC名 着用アイドレス 200027 涼原秋春 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人+星見司 200028 444 南国人+パイロット+ドラッグマジシャン+超薬戦獣+参謀 200029 清白 南国人+パイロット+ドラッグマジシャン+超薬戦獣+護民官 200030 橘 南国人+パイロット+ドラッグマジシャン+超薬戦獣+参謀 200031 鴨瀬高次 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人+法官 200032 忌闇装介 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人 200033 綸子 南国人+医師+風紀委員会+生徒会役員+吏族 200034 阪明日見 南国人+医師+風紀委員会+生徒会役員+吏族 200035 東西 天狐 南国人+医師+風紀委員会+生徒会役員+吏族 200036 鈴木 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人 200037 田中申 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人 200038 和志 南国人+パイロット+ドラッグマジシャン+超薬戦獣 200039 リバーウィンド 南国人+猫妖精+略奪系考古学者+鞭の達人+護民官
https://w.atwiki.jp/drsrms/pages/2.html
____メインメニュー___ トップページ メニュー 総合名簿探偵部 風紀委員会 転校生 Q&A魔人とは 用語集 キャラ投稿進捗状況 _______戦闘画面______ +【前半戦】 【前半戦】 +<1ラウンド> <1ラウンド>初期配置 1T目先手 1T目後手 2T目先手 2T目後手 2T目転校生 3T目先手 3T目後手 3T目転校生 4T目先手 4T目後手 4T目転校生 +<2ラウンド> <2ラウンド>初期配置 1T目先手 1T目後手 2T目先手 2T目後手 2T目転校生 3T目先手 3T目後手 3T目転校生 4T目先手 4T目後手 4T目転校生 -【後半戦】 【後半戦】 -<3ラウンド> <3ラウンド>初期配置 1T目先手 1T目後手 2T目先手 2T目後手 2T目転校生 3T目先手 3T目後手 3T目転校生 4T目先手 4T目後手 4T目転校生 +<4ラウンド> <4ラウンド>初期配置 1T目先手 1T目後手 2T目先手 2T目後手 2T目転校生 3T目先手 3T目後手 3T目転校生 4T目先手 4T目後手 4T目転校生 ___遊び方・参加方法___ ゲームの概要 レギュレーション キャラメイク特殊能力 査定基準 アビリティ プレイヤー転校生転校生スキル 投稿メールフォーム ______ そ の 他 ______ 前提知識・マナー 著作権規定 _______世界観_______ エピソード ストーリー ______応援作品______ 【探偵部】SS① 探偵部SS下着レポート集 イラスト① 【風紀委員会】SS① イラスト① 画像保管庫 ______掲示板______ 風紀委員 探偵部 GK掲示板(表) GK掲示板(裏) 中の人一覧 _______リンク_______ 戦闘破壊学園ダンゲロスwiki 学園魔法陣Aのダンゲロス 総合掲示板 ベーシックルール2.1 特殊能力ガイドライン1.3 ダンゲロス流血少女1 ダンゲロス流血少女1+ ダンゲロス流血少女2 ダンゲロス流血少女3 ダンゲロス流血少女ISV ダンゲロス流血少女MM ダンゲロス流血少女SS ダンゲロス流血少女AE ダンゲロス流血少女CS ダンゲロス流血少女PoP _______更新履歴______ 取得中です。
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/1125.html
「だから、聞こう。この中で、現在何らかの理由で体調を崩している者もしくはその傾向がある者はいないか!? 嘘を報告した所で無駄だ。何故なら・・・俺の『真意解釈』でお前達の心理状態は全て暴かれている!!」 会議室内が一気に静まり返る。『真意解釈』。椎倉が持つ精神感応系能力で、声や表情、視点、指紋等、極々微妙な変化を察知し、 その時相手が抱いていた感情、心理をほぼ正確に読み取れる能力。仲間である風紀委員には決して使わないと、椎倉自身が公言している能力。 その能力を、今風紀委員に対して使っていると椎倉は宣言したのだ。 「固地の疲労を見抜けなかったのは、風紀委員会を統括する役割を持つ俺の責任でもある。 自分の信念に拘る余り、仲間の状態を見抜けないようでは本末転倒だ!! だから、俺は決断した!!『真意解釈』の使用を!!だが、俺の口から言う前にお前達からの報告を受けたい。 固地のように、自身の体調の報告さえできないような仲間なら・・・俺は今後も『真意解釈』を使う!!どうだ!?」 椎倉の瞳には、断固とした決意の念が宿っていた。その気迫に、風紀委員達は呑まれる。だが、報告する者はすぐに現れない。 もし、体調が悪いと報告すれば固地のように風紀委員会から外される可能性があった。それは、休暇という名の戦力外通告。 仮に、休暇の後に戻って来たとしても周囲から心配されるのは目に見えている。そんな状態に、誰だって身を置きたく無い。 数十秒後、椎倉は溜息と共に言葉を吐く。 「そうか。ならば仕方が無い。俺の口から言う・・・」 「・・・はい」 「網枷・・・」 「双真・・・。やっぱり、あなた・・・」 手を挙げたのは、176支部の一員である網枷双真。 「す、すみません、リーダー。僕、ちょっと夏風邪を引いたかも・・・です」 「・・・も、もぅ!だったら、早く私に報告しなさいよ!!幾ら自分から発言しないからって、そういうのは駄目なんだからね!!」 「す、すみません・・・」 加賀美は思う。網枷が時折咳をしていたのは、やはり体調面が優れていなかったからだろう。 普段の仕事でも常に事務仕事にばかり就き、自分からは殆ど発言しない網枷の思考は、リーダーである加賀美でも読めなかった。 「・・・わ、私も、ちょっと喉が痛いです・・・」 「渚・・・。何で言わねぇんだよ!」 「・・・お、俺も一昨日の捜査中に脚を痛めちゃってます・・・」 「湖后腹・・・お前・・・」 「・・・目が痛いです。以前からずっと、債鬼の奴に事務仕事ばかり押し付けられていた疲れが・・・」 「・・・それは、致し方無いな。下克の奴も固地の無茶な要求が祟ってか、結構前から重度の肺炎を患っているからな。 俺も昨日と一昨日は調子を崩して休んでいたし・・・。最近は、特に暑いからな。予想以上に疲労も溜まっているのかもな」 「・・・椎倉先輩。押花の奴が傷心で・・・」 「・・・・・・ハァ」 「・・・そんでもって、176支部(ウチ)からは双真が・・・か。債鬼君が知ったら、『監督不行届だな』って怒られ・・・ないか。自分がそうなっちゃったし」 花盛支部からは渚が、159支部からは湖后腹が、178支部からは秋雪が、成瀬台支部からは押花(初瀬の申告)が、それぞれ体調の不良を訴えた。 (159支部の一厘も昨日の界刺との戦闘で体を痛めてはいたが、それは冒頭椎倉が説明した時に申告済みであった。愚痴とも言えるが) 閨秀、破輩、浮草、椎倉、加賀美が頭を抱える中、顧問である橙山が口を開く。 「まぁ、よかったっしょ。こういう場でも設けないと、皆言い難かっただろうし。これで、今後『真意解釈』は使用せずに済むっしょ?」 「・・・ですね。ちなみに、さっきは『真意解釈』は使っていなかったから、お前達の心理状態は知らないぞ?」 「えっ?ということは・・・」 「さっきのは嘘だ。『嘘も方便』というヤツだな、うん」 「えええええぇぇぇっっ!!?」 初瀬の声が会議室に響き渡る。つまり、椎倉はここに居る風紀委員の体調を見抜くために『真意解釈』を使ってはいなかったのだ。 「ど、どうしてそんな嘘を・・・?」 「葉原・・・。油断するなよ?これは、事と次第によっては『嘘から出た実』になる可能性だってあるんだぞ?」 葉原の疑問を待ってましたとばかりに、椎倉は淡々と説明を重ねて行く。 「確かに、先程の宣言にあった“今”の心理状態を見抜くために『真意解釈』を使ったというのは嘘だ。だが、今後はどうなるかはわからない。 大勢の命を預かる者として、自分の体調を偽るような仲間の存在を俺は許すつもりは無い。 もし、今後そういうケースを発見した場合は、その風紀委員はこの[対『ブラックウィザード』風紀委員会]から外すつもりだ。例外は無い。 例えば、また固地の奴がそういうことをすれば今度は休暇では無く除外だ。実力等関係無い。そんな人間は不必要だ」 「「「「「・・・!!!」」」」」 “風紀委員の『悪鬼』”と謳われる固地ですら、二度同じ真似をすれば切り捨てる。そう、椎倉は宣言しているのだ。 「だから、今後はそういう面においてはちゃんと報告してくれ。ローテーションの変更にも柔軟に対応する。 それは、何も俺にじゃ無くてもいい。各支部のリーダーに報告し、そのリーダーから俺に報告するという形でいい。 明後日からは・・・今まで178支部だけに認めていた支部単位の単独行動を解禁するからな。各リーダーの責任は、更に重くなるぞ?」 「椎倉先輩!?そ、それでいいんですか!?それを全支部に認めたら、本部で統制が取れなくなる恐れが・・・」 加賀美の質問にも、椎倉は動じない。そんなリスクは承知済みだ。覚悟の上だ。 「最低限の報告はして貰うさ。だが、今までは本部からの指示通りに全支部は動いていた。単独行動時の178支部以外はな。 捜査ルートの設定や変更等も、一々本部の許可が必要だった。だが、それでは即応性に欠ける。時間も掛かる。・・・そろそろ、現状の指針を変更する時ではあった。 現に、夏休みに入って俺達が掴んだ有力な手掛かりは、178支部を尾行していた『ブラックウィザード』の薬物中毒者2人だけだ。 だから、これからは各支部のリーダーの権限を増やすつもりだ。具体的には、現場に居るリーダーの判断を最大限に尊重する。 現場における作戦等も、リーダーが全て決めて構わない。一々本部の許可は取らなくていい。報告は後でして貰うがな。 もちろん、相談するのは構わない。リーダーの指示や要請に、即座に俺達本部に在住する者が応答する。 但し、本格的な単独行動をする支部は事前に俺か橙山先生へ連絡してくれ。これは、他の者への代行は認めない。必ず、該当するリーダーが俺か橙山先生に。いいな?」 「・・・了解しました」 「相変わらず決断する時は一気に来るな、撚鴃?」 「・・・わかった。何とか、固地が抜けた分を少しでも埋めてみるよ」 「風輪での騒動みたく、またやせ細らなければいいが・・・。あの時は酷かったモンな・・・私」 椎倉の決断に、各支部のリーダーである加賀美・冠・浮草・破輩は各々その重責を感じながら承諾する。 「さっき176支部の一部に認めた例の殺人鬼との応戦許可も、現場に居るであろう加賀美の判断に任せる。 神谷。一応戦闘自体は認めるが、それは加賀美が許可した場合だ。お前が言葉の抜け道を使うなら、俺も使わせて貰うぞ? 元々、お前達に認めたソレは単独行動を許可することを念頭に置いて判断したものだからな」 所謂、後出しジャンケンみたいなものである。先に認めておき、後で縛りを付ける。神谷としては自分から言い出したことなので、うまい反論が思い付かない。 「・・・チッ。・・・ようは、加賀美先輩の許可をブン取ればいいってことか・・・(チラッ)」 「ブルッ!?な、何恐い視線を送ってんのよ、稜!?」 「あぁ。加賀美先輩の震えている姿も、また愛おしい。ありがとうございます!!(グアッ)」 「そんな殺人鬼を、放って置く真似は許されない!!あの殿方のためにも、この私の手で終止符を打つ!!そうでしょ、リーダー!?(ガァッ)」 「私のようなエリートが、わざわざ叩き潰すと宣言したのです。まさか、加賀美先輩がそんな私の意気込みを無為にすることは・・・ないですよね・・・!?(グンッ)」 「・・・・・・倒す。・・・・・・倒す!・・・・・・倒す!!(ヌオッ)」 「く、来るな!!顔面ごと私に視線を送って来るな!!こ、恐いのよ、この問題児集団!!」 顔面ごと擦り寄ってくる176支部の問題児集団に、リーダーである加賀美は戦慄する。 「・・・あの纏まり具合を、普段から見せてくれたらいいのにねぇ」 「・・・だよな。あの人達って、個性豊か過ぎんだよなぁ・・・」 葉原と鳥羽という176支部メンバーにおける苦労人コンビが、自分達の仲間の行動に嘆息する。 「詳細については、この休みを利用して書類に纏めておく。休み明けに配るから、それに目を通してくれ。 それと・・・これは言っておこうか。お前達への発奮材料になるかもしれん」 「発奮材料?・・・何ですか?」 六花の声に、椎倉は最後の揺さ振りを掛ける。この場に居るかもしれない内通者へ向けて。“奴”が自分達を利用するなら、自分も“奴”を利用させて貰う。 神谷に指摘されずとも、自分とて“奴”の手でいいように転がされたことにはムカっ腹が立っていたのだから。 「もしこの場に居るのが俺では無く、界刺なら!この場に居る風紀委員の何人かが『シンボル』のメンバーなら!!この事件は、もうとっくに解決していただろう!!!」 「「「「「!!!」」」」」 表情から笑みが消える。コソコソ話も消える。雰囲気が・・・一変する。 「本当に惜しい。あの男がこの風紀委員会のメンバーなら、もっと効率的且つ迅速に事件を解決に導いていただろう。 あの男を含む『シンボル』のメンバーが全員風紀委員ならば、あの男達が俺達を引き連れて本気で動けば、『ブラックウィザード』を潰すことは造作も無いのだろう。 そもそも、『シンボル』の行動指針は俺達風紀委員と似通っている。そうだ、今からでもいいから奴等に協力を仰いでみるか?取引では無く懇願を。皆で頭を下げて。 あの男なら、それ相応の条件を付ければ動いてくれるかもしれない。どう思います、橙山先生?」 「な、何で私に話しを振るっしょ!?」 椎倉の急な振りに橙山が慌てる。そんな中、この場に居る風紀委員に胸に去来するのは・・・熱き思い。 それは、自分達が風紀委員であるという矜持から生まれた対抗心。『絶対に負けてたまるか!!』という思いが、自分の胸を熱く燃え滾らせる。 椎倉の言葉が本意で生まれたものでは無いのはわかっている。わかって尚、燃え滾る炎の拡大を抑えることができない。 「・・・そんなことをする必要はありません」 最初に呟いたのは・・・焔火。 「あの人に頭を下げる必要はありません!!これ以上私達の都合であの人に頼れば、私達が風紀委員である意味が無くなってしまいます!!」 「・・・俺も焔火と同じ意見だ」 次に言葉を発したのは・・・神谷。 「あんな“変人”のいいようにこき使われるのは勘弁だ。それに、俺達風紀委員があの男に劣る?そんなこと・・・絶対に認められるかよ・・・!!」 「あたしも、あの男に二度も頭を下げるのは嫌だぜ?あの“詐欺師”には借りがあるんだ。それを返さないまま屈してたまるかよ!!」 「その界刺という男・・・俺からしたら嫌いな部類に入る人間だな。固地1人でもキツイのに、そこにもう1人追加というのは勘弁してくれ」 「連中が困った時は手を貸すつもりではあるが・・・それ以外であの“変人”にドヤ顔されるのは私も気に入らないな。想像しただけで腹が立つ」 閨秀、浮草、破輩も続く。 「ぶっちゃけ、あの野郎は前から気に入らなかったんだ!!この際、あの男に俺達風紀委員の底力ってヤツを見せ付けてやろうぜ!!」 「相変わらず口うるさいですね、鉄枷は。でも・・・奇遇ですね。私もあなたと同じ気持ちですよ」 「言われてみれば、あの“詐欺師”って俺が嫌いなタイプだった・・・。すっかり、あの男に呑まれちゃってた・・・。これじゃあ、駄目だ!!気合を入れ直さないと!!」 「真面君・・・」 「・・・抵部さん。今度、その界刺さんって人に会わせて下さい」 「ど、どうしたの、かおりん?すっごくこわい顔しちゃって!?」 「(香織・・・。何か、嫌な予感がする。私も同行した方がいいかも)」 「鏡星先輩・・・」 「一色・・・。せーの」 「「“変人”死すべし!!!」」 「そうだ・・・。フフッ・・・。あ、あんな“変人”に負けっぱなしでいられるか・・・。絶対に目にものを見せてくれる・・・。ハハッ・・・」 「押花・・・。失恋ってのは、こうまで人を変えるのか?」 「(・・・色んな意味で効果テキメンだな。これで、休暇の中でも緊張の糸が途切れることは無いだろう。幾ら休暇と言っても、緊張まで完全に緩んで貰っては困るからな。 悪いな、界刺。こいつ等がお前にどんな迷惑を掛けようが、俺は知らないからな。神谷的解釈もアリだしよ。 その、なんだ・・・やっぱ、俺もお前にはムカついてるんだわ。後で骨くらいは拾ってやるから勘弁な)」 やはりと言うべきか、椎倉の発言を受けた各風紀委員の気勢は色んな意味でうなぎ登りだ。それだけ、あの男の存在が大きいと言うべきか。 「忠告しておくが、界刺に負けたくないからと言って無理した挙句に体調を崩した奴は即座に休ませるからな。いざという時は、『真意解釈』を用いて調べる。いいな? それと、さっき体調が崩れていると報告して貰った者は、すぐに病院へ行って来い。何なら、休暇の日数を延ばしてもいい。その場合は、できるだけ早くに申告してくれ! では、以上をもって緊急会議を閉会する。解散!!」 椎倉の終了宣言により、[対『ブラックウィザード』風紀委員会]に関わる緊急会議は幕を閉じた。 「幾凪。頼んでいたレポートはできたか?」 「はい!バッチリです!!」 「撚鴃も手段を選ばないな。まさか、あの緊急会議を開いた真意が『梳の嘘を見抜く能力を活かした嘘発見会議』だったとは、他の者には予測できないだろうな」 「そのために、わざわざ『真意解釈』を使った等と嘘を付いてまで皆の注目を俺に集めたんだ。固地の二の舞は何としてでも避けなければな」 ここは、成瀬台のある一室。そこに居るのは、椎倉・冠・幾凪の3名。ここで、椎倉は幾凪が作成したレポートに目を通していた。 「え~と・・・『鉄枷束縛 嘘は付いていないが、心情が表情に出過ぎ。ぶっちゃけてんのは、他人じゃ無くて自分(テメー)だろ。キャハッ!!』。 『加賀美雅 何か言いたげな表情を見せるが、結局は口に出せない。表情筋を見る限り苦労性が板に付いている。あんな立場になりたくない。ご愁傷様』。 『浮草宙雄 何かを隠しているような感じだが、それ程重要では無い模様。諦め癖が付いている感バリバリ!!隠していることもそれ関連かも!!お気の毒♪』。 『冠要 さすがは、私の冠先輩!!何時見ても美しいそのお顔。羨ましい限りです!!これで、風紀委員活動にもうちょっと真面目に取り組んでくれたらなぁ・・・』。 おい、幾凪。何だ、この恣意的解釈感溢れるレポートは?俺は嘘を付いていないかの確認と、お前から見た各人の印象をできるだけ客観的に書いてくれと言ったんだが?」 「えっ。何処かおかしかったですか?私自慢の状態発見レポート『表情透視 ライディテクター 』なんですけど? ハッ!もしかして、冠先輩の項目に不備が!?もっと、褒め称えるような文章構成にするべきだったのかな!?」 「・・・要」 「梳は、現実世界とペーパーの世界では性格が変わるんだよ。もしかしたら、ペーパーの世界の性格が地なのかもしれないな」 冠の後輩である幾凪梳は、レベル1の『筋肉透視』という能力を所有している。 皮膚一枚程度という非常に薄い程度の物しか透視できない能力で、それ単体では殆ど使い物にならないのだが、 幾凪は必死の努力の末に、相手の表情筋の動きから嘘を見抜く事が出来るようになった。その発展形が『表情透視』である。 このことを知っているのは花盛支部の面々と、冠と関係が深い椎倉だけである。 (椎倉自身は、以前の合同見分の折に冠から教えて貰った) 『実は、俺達風紀委員の中に嘘を付いている人間が居るかもしれないんだ』 椎倉は、下駄箱にて冠と幾凪にこう告げた。当初2人は戸惑ったものの、すぐ後に風紀委員の健康状態を調査するという名目を聞かされて納得したのだ。 「はぁ・・・。まぁ、いい。ありがとう、幾凪。もう帰っていいぞ」 「わかりました!それじゃあ、冠先輩・・・一緒に帰り・・・」 「すまないが、私は撚鴃と話がある。先に帰ってくれ」 「えぇ!?そ、そんな・・・。折角冠先輩と一緒に喫茶店とかでお話しようと思ってたのに・・・」 等と愚痴る幾凪を冠が宥め、結果帰宅させることに成功した。部屋に残るのは、椎倉と冠の2人だけ。 「撚鴃・・・。謝らなくていいぞ?お前が自分の信念を曲げてまで、私と梳に対して『真意解釈』を使用したのには相当な理由があるのだろう? 健康チェックとは比べ物にならない程重要な理由が・・・」 「要・・・。やっぱり気付いていたか」 「元カレの癖とかは梳が調べなくてもわかっている。それに、健康チェックだけが目的なら私は不必要だろ?梳1人を残せばよかった筈だ。 なのに、私も残した・・・つまり、お前は私に許して貰いたかったんだろ?私が可愛がる後輩に『真意解釈』を使うことを。違うか?」 「・・・そう、かもしれん。お前ならわかってくれると・・・心の何処かで思っていたのかもしれないな」 壁に寄り掛かり、目を閉じる椎倉。その隣に冠が寄り添う。 「・・・スパイが居るのか?私達風紀委員の中に」 「・・・それを確かめるための『真意解釈』であり、このレポートだ。本当なら、こんなことはしたくなかった。俺だって、自分の信念を貫き通したかった。 だが・・・そういうわけにもいかなくなった。おそらく・・・俺達風紀委員会に参加している者の中に『ブラックウィザード』の手先が居る。 大勢の命を預かる者として、何時までも自分の信念にばかり拘っていてはいられない。お前達に会い、改めて考え、そう判断した」 「・・・だから、それを調べる能力がある梳と私がスパイであるかないかを確認するために、信念を曲げてまで『真意解釈』を使用することを決断した。そうだな?」 「あぁ・・・」 椎倉の『真意解釈』は、相対する人間の心理状態を把握できる代わりに対象範囲が狭い。普通は1人だけ。把握できる範囲を狭めても精々2人までが限度であった。 対して、幾凪の『表情透視』は厳密に言えば超能力では無い。一種の特技だ。表情筋の動きにより、その時に抱いている人間の感情を大まかに知ることができる特技。 人間の表情筋はその人特有の癖はあるものの、歓喜・悲嘆・憤怒等の折に動かす顔の筋肉というのは決まっているものである。 例え、顔に出さないように表情筋を抑制したとしても、普通は反応の欠片くらいは露になってしまうものである。 そして、それを幾凪は見逃さない。一度対象における表情筋の動きや癖を覚えた後は、じっくり見る必要は無い。ポイントは把握済みだ。 故に、彼女は条件付ながら大人数に対しても『表情透視』を敢行することが可能なのだ。そんな彼女が欲する表情筋の動きや癖は、椎倉が用意した。 『「『ブラックウィザード』の捜査に関わっている風紀委員は今後、『シンボル』の行動を原則黙認する」、「時には『シンボル』の要請に協力する」、 そして・・・「『シンボル』のメンバーが、風紀委員やそれ以外の人間へ最悪命に関わるような危害を与えた、 もしくは何らかの原因で与えさせてしまったとしても、風紀委員は“数回”黙認する」。 以上“3条件”を、先程界刺と約束して来た』 『・・・あの男は、風紀委員や警備員の上層部が「軍隊蟻」と関わっていることを知っています』 『ちなみに、その中心人物の1人であった春咲桜は現在「シンボル」の一員です』 『現在進行中で、「ブラックウィザード」と単独で殺し合いを行っている・・・殺人鬼が居る。その男は・・・俺達を凌駕する力を持っている可能性がある!!』 『界刺に恋する少女達の逆鱗に触れたからだ』 『だから、当分の間は固地を[対『ブラックウィザード』風紀委員会]から外すことに決めた!!』 『だから、聞こう。この中で、現在何らかの理由で体調を崩している者もしくはその傾向がある者はいないか!? 嘘を報告した所で無駄だ。何故なら・・・俺の「真意解釈」でお前達の心理状態は全て暴かれている!!』 『もしこの場に居るのが俺では無く、界刺なら!この場に居る風紀委員の何人かが「シンボル」のメンバーなら!!この事件は、もうとっくに解決していただろう!!!』 他にも色々あるが、総じて言えるのはあの場に居る者の喜怒哀楽に係る表情を引き出すために、必要以上に強調したor衝撃的事実である言葉を放ち続けたということだ。 それを、秘かに幾凪が観察していた。彼女の挙動を悟らせないように、わざわざ『真意解釈』を用いたという嘘も付いた。 自分の『真意解釈』は、内通者にも知られている。それに対する対策をしていてもおかしくは無い。 唯でさえ、『真意解釈』は面と向かっていなければ効果を満足に発揮できない。下手をすれば、こちらの意図が読まれる可能性だってある。 今はまだ、『内通者の存在に気付いているのは固地債鬼唯1人』ということにしておかなければならない。 気付いていないフリをしながら泳がしておかなければいけないというのも、非常にネックである。故に、それを考慮した罠を仕掛けた。 健康チェックを盾にした数多の衝撃的発言には、さしもの内通者も動揺を隠せない筈。それは、他の風紀委員以上に激しい筈。 体調悪化がバレるのと、スパイ活動がバレるのとでは動揺の差は歴然である。 「いや・・・いいよ。撚鴃自身が一番辛いんだろ?むしろ、自分の信念を曲げなければならない苦しみを共に抱くことができなかった私こそ・・・済まない」 「要・・・」 「私は、お前が『真意解釈』を使うとわかった瞬間すごく心が痛んだ。きっと、撚鴃はすごく苦しんだ筈だってことがわかったから。 なぁ・・・。私は、お前と別れてからお前以上の男に会ったことは無いぞ?だから、お前のことなら私が一番よく知っている。 お前のことを誰よりも思っている。そう、自負している。だから・・・悔しいよ。肝心な時にお前の苦しみを共に背負えないのは・・・」 冠の頭が椎倉の肩に乗る。椎倉からは冠の表情は見えない。見えないが、今この時に冠が抱いている気持ち等、『真意解釈』を用いずとも椎倉には手に取るようにわかった。 「要・・・。ありがとう。本当に、ありがとう」 「撚鴃・・・。前に言ったが、もう一度付き合わないか?」 「・・・・・・コーヒーがなぁ・・・」 「・・・我慢する」 「なっ!?」 椎倉は驚愕する。冠の口から、『(コーヒーを)我慢する』という言葉を聞ける日が来るとは思わなかった。 「・・・その、なんだ。お、お前がコーヒー嫌いだったということは知っている。 そ、それなのに、お前に嫌な物を押し付けてしまったのを・・・それが別れる原因になっていたのを・・・これでも私は反省しているんだ。 で、できるだけ・・・が、我慢する・・・。時には我慢できないこともあるかもだが・・・その・・・あの・・・」 「・・・フッ。フフッ・・・」 「な、何がおかしいんだ、撚鴃!?」 椎倉の口から零れた笑い声に、冠は顔を赤くしながら憤慨する。 「要の口から、そんな言葉を聞ける日が来るとは思わなかった。フフッ・・・」 「な、何か失礼なことを言っていないか?」 「でも・・・嬉しいよ、要。お前が、そこまで俺のことを考えてくれているなんて思ってなかったから」 「・・・鈍感な奴め」 「そうだな・・・。今関わっている事件が解決したら・・・その時は考えてやってもいい」 「・・・すごい嫌なフラグを感じるのだが」 「大丈夫さ。そんなフラグ、お前なら全て溶かし切ってしまうだろ?」 「・・・ククッ、それもそうだ。なら、話は簡単だ。さっさと、この事件を解決すればいい。お前の指示と私の力で」 「あぁ。そうだな。・・・そうだとも!!」 そう言った後に、冠に緊急会議で出さなかった『ブラックウィザード』に関する情報を伝え、別れた。 椎倉は『表情透視』を読み込んで行く内に、記載されているある項目に目を付ける。そして、彼はすぐさま部屋を飛び出したのであった。 continue…?
https://w.atwiki.jp/aren1202/pages/451.html
華麗なる剣の舞は見る者全てを魅了する、「黒翼の守護天使」 名称:ミヤビ=セレンティ 性別:女 所属学科:戦術技術課 長身に鴉の濡れ羽の如く艶やかで背丈ほどもある黒髪を揺らし、剣の道に生きる・・・ように見えるが、実のところ 趣味は「かわいい下着集め」という年頃らしい一面も持ち合わせている女の子。 両親を早くに亡くしており、学園入学当初はかなりスレていた時期もあったようだが、あるきっかけがあって以来 急に周囲と打ち解けるようになり、脅迫もとい押しかけ同然でジュン区ジャンクヤードに程近い廃屋「ランドサット」の 看板娘に収まり、若干一名の客のためだけに接客に勤しむことになる。 幼少のころから鍛えられ、幼い身で一人生きるために極めた、ジパング古代神剣流派の一派である夢幻流剣術と 伝家の宝刀「獅子」が合わさり繰り出される一撃は魔道工学課徒士が暴れるために作ったお手製マシンゴーレムを いとも容易く一刀両断せしめる程であり、これが講じてジュン区での暴動を風紀委員に先んじてわざと力でねじ伏せる様と 身を翻す際に黒髪がまるで羽ばたくが如くしなやかに広がる様から、「黒翼の守護天使」と呼ばれて工学系徒士から 恐れられ、風紀委員(主に委員長ユーノ)からは煙たがられている。 「魔神先生」にて再登場の際にはセントと結ばれ娘アメリアを授かり、夫ともどもアクの強すぎる上司に揉まれて 徹底的に鍛えられ、準教導官として学園に赴任することになる。 酒が入ると半ば無意識の内に魂喰らう忌剣「鵺」を抜き放ち大暴れを始めるという酷い事極まりない酒癖を持ち、 こうなると夫が責任を持って命懸けのアセンダンシーフォームで止めに掛からないといけなくなるが、この程度は 大陸連合軍内で行われる飲み会ではよくあることなので必死なのは夫のみである。